ガソリン再考察〜【CB900 HORNET】

【07, オクタン価定義】  '04/06/01

ふたつ目、オクタン価の定義。
「ハイオクは燃えにくい燃料である」のちゃんとした説明。

ガソリンというのものはいろいろな炭化水素の混合物です。
その中の主成分でイソオクタンと、ノルマルヘプタンがあります。



イソオクタン100%をオクタン価100
ノルマルヘプタンのみはオクタン価62
イソオクタンの体積割合がオクタン価です。(基本の定義)
オクタン価90というのはイソオクタン90%、ノルマルヘプタン10%ということです。
レギュラーはオクタン価89〜95。
ハイオクはオクタン価96以上。となってます。
燃えにくいイソヘプタンが多いハイオクは燃えづらいです(レギュラーに比べて)


ちょっと化学的説明です。高校2年生の化学1Bで十分理解可能な内容です。

ーーーなぜ発火点が違うのか?ーーー

分子の立体的構造が違うから。
図の構造式の通り、イソオクタンは球状に近い。ノルマルヘプタンは真っすぐな鎖状。
丸いほうが他の物質と反応性は低い。球状=表面積が小さい=他の物質にぶつかりづらい。
球状のほうが反応性が低い=燃えづらい。
立体構造からも、イソオクタンのほうが燃えづらい。
よって、発火点がイソオクタンのほうが高い。

ちなみにガソリンには他にもいろいろな炭化水素が混合されてます。
シクロヘキサン、トルエンなどです。
トルエン100%はオクタン価はなんと120とのことです。
エタノール100%はオクタン価100以上とか。
しかし、主成分はイソオクタンとノルマルヘプタンです。

オクタン価というものはイソオクタンとノルマルヘプタンの相対的な基準で、実験的にノックのしにくさの数値として計算されているらしいです。

また、炭化水素では。
・分子量が小さい方がアンチノック性が高い傾向にある。
・直鎖よりも側鎖を持つもの(主鎖が短いもの)の方がアンチノック性が高い傾向にある。
・二重結合を持つ持つものの方がアンチノック性が高い傾向にある。
・環状化合物(芳香族系、ナフテン)の方がアンチノック性が高い傾向にある。
・含酸素化合物(アルコール等)の方がアンチノック性が高い傾向にある。

分子の立体構造の影響みたいですね。
オクタンとヘプタンのようなわずかな分子量の違いでは何も影響ないようです。


オクタン価は本当にイソオクタンなどの混合比率だけで調整しているのか?
違います。添加剤でも調整されています。

ハイオクの添加剤には洗浄剤、酸化防止剤、アンチノック剤などがあります。
アンチノック剤、別名オクタン価向上剤が不純物として沸点&発火点上昇を起こしています。

ここのしくみが前に自分が書いた【化学1B復習】の内容そのままです。
是非もう一度確認してください。

そのオクタン価向上剤として昔は鉛が添加されていたわけです。
4メチル鉛、4エチル鉛のことです。



しかし、今では環境にもエンジンにも鉛は悪いことがわかったので、まったく使われてません。
今は安全な合成有機物を代わりに使っているみたいです。
単純に分子量がガソリン主成分より十分大きく、
沸点上昇&発火点上昇が起きれば良いんですから、鉛である必要はないんです。

BACK NEXT

HOME

inserted by FC2 system